趙孟頫とその時代 ―復古と伝承―|台東区書道博物館(22.1.4~2.27)

没後700年を記念しての展覧会で、東博との連携企画。書道博では法帖を中心とした展示だった。50点ほどが出品され、前後期で半分くらいが入れ替え。

前記に展示されていた趙孟頫の肉筆は《楷書漢汲黯伝冊》(永青文庫蔵、全期)のみ。法帖でもっとも目を引いたのは《大学(垂裕閣帖所収)》(書道博蔵、全期)。これぞ趙孟頫と紹介されていたが、まさにそういう印象があったし、もっというとこれが中国書といった感じのものだった。そのほか臨書を含みさまざまな書風・書体が見られたが、共通するのは端正さで、素人からするともっと特徴的なもののほうが楽しめるなあといったところ。なかでは章草で書かれた《急就章(三希堂帖所収)》(書道博蔵、前期)もいいが、そういった意味ではむしろ師の中峰明本の書の方が惹かれるところはある。《拱上人あて法語》(個人蔵、前期)は比較的おとなしめだが、《雄蔵主あて法語》(三井記念美術館蔵、全期)はかなり大胆な筆跡。鮮于枢の《草書後赤壁賦冊》(書道博蔵、全期)もよかった。

法帖の良し悪しというのもよくわからないが、技術的には清代に極まったのだろうか。《安素軒帖》(五島美術館蔵、全期)はキャプションの言う通り白い墨で書いたかのように見えるほどの出来。一方、古いものでは趙孟頫旧蔵品がでている。《黄庭経》(五島美術館蔵、全期)、《化度寺碑―慶暦本―》(三井記念美術館蔵、全期)、《絳帖》(書道博、全期)。筆跡はもちろん、所蔵品、しかも学習した手本が伝わるというのもなかなか凄い。

その他に、当時の印章がいくつか。特筆すべきはパスパ文字の《「蒙古軍万戸府経理司印」主文方印》(書道博蔵、全期)。また《中統元宝交鈔》(書道博蔵、前期)という紙幣(交鈔)も出ていた。当時、紙幣があったというのに驚いた(マルコ・ポーロも『東方見聞録』に驚きを記しているようだ)ただ、紙幣の発行は宋まで遡るという。見開きの台帳に2枚押されていたが、表裏なのだろうか? かなり状態悪くなんとも言えないが、あまり紙の質はよくないように見えるのが疑問。なお後期には《至元通行宝鈔》(書道博蔵)がでるとのこと。

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