よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―|サントリー美術館(2022.1.26~3.27)

正倉院宝物の模造についての展覧会で、奈良国立博物館をはじめ、全国8か所を巡る巡回展。東京展では128番まで番号は振られているが、展示は70点で、そのうち4点が前後期で入れ替えなので、同時に出ているのは66点だった。

模造をつくる際には、現状を模するか原状を再現するかの軸と、見た目・形だけを模するか原料や技法にもこだわって再現するかの2軸あって、正倉院事務所では、1972年以降再現模造にこだわっているとのこと。今回の展示の中心はこの再現模造だけれども、それ以前の模造品もでていた。

6章仕立てで、第1章は楽器・伎楽、第2章は仏具・箱と几・儀式具、第3章は染織、第4章は鏡・調度・装身具、第5章は刀・武具、第6章は筆墨(とされるがメインは文書)。

第1章の目玉はやはり《螺鈿紫檀五絃琵琶》(10)。本物もこの模造もかつて見た記憶があるが、落帯のところの装飾には初めて気づいた。製造工程の解説で伏彩色の説明があったおかげ。《模写 紫檀木画槽琵琶捍撥画》(12)は皮に描かれた絵を紙に模写しているものだた、絵因果経の絵を彷彿とさせる奈良時代の貴重な絵画か。

第2章では《黄銅合子》(21)の複雑な構造を、ばらした部品と共に解説されていたがよくわからなかった。ほこり除けのようなものがついている《金銀絵籠箱》(33)は興味深い。1978年の再現模造である《天平宝物筆》(36)の解説で「斑竹ににせた筆管の斑文は染め付けによって再現した」とあって、再現模造の原則からは外れる気がする。

もっとも楽しかったのは第3章の染織。目に鮮やかな美しい布地が並ぶ。そのなかで、すこし質の落ちる絁(56,57)が興味深かった。

第4章の《青斑石鼈合子》(77)が今回1番のお気に入り。かなりリアルな造形の石造のスッポンであいらしい。これが蓋になっているという。《黒漆箱》(79)は宝物の中で唯一引き出しを持つものだそうで、しかも上から順に開けないと開かないという「秘密箱」だとのこと。《紺玉帯》(88)を納める《螺鈿箱》(86)は漆の部分があまりに美しくマットな質感で、再現ということでいいのだろうかと疑問に思ってしまうくらいだった。《白牙把水角鞘小三合刀子》(95)3本の刀子を1つの鞘におさまるようにしたもので、刀身は紙を切る、槍鉋は文字を削るんだろうけど、のこぎりは?

第5章刀・武具はすべて明治時代の模造品なのは何か理由があるのだろうか。

第6章は筆と墨のほかに、国立歴史民俗博物館で作成されている正倉院文書の複製が並んでいた。

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