赤 ―色が語る浮世絵の歴史|太田記念美術館(22.3.4~3.27)

浮世絵の赤に注目した展覧会で、全64点。近年、浮世絵の赤の色材に関する研究が進んでいるようで、それを受けている。7章仕立てで、赤の名品、赤の歴史①丹絵・紅絵・紅摺絵、②錦絵誕生、③幕末の赤、④明治の赤、さまざまな赤、変わる赤に分かれる。

まず最初に目につくのは国貞《源氏見立八景之内 花宴 かつらき》の正面刷り。状態のいい逸品で、正面摺りが見やすいように展示に工夫があった。他に、紅刷絵ながら表現力豊かな豊信《二代目瀬川吉次の石橋》、輪郭線のない無線摺で描かれた牡丹が西洋風の広重《牡丹に孔雀》、背景の赤が布のような質感のある国貞《今様三十二相 気むつかし相》などが印象に残る。広重《名所江戸百景 蒲田の梅園》で空が赤く染められていることについて、梅の香りが漂うさまを表しているのではとのこと。梅の絵は空が赤いことが多いともいう。たしかにそういわれると梅の香りが充満しているのを赤で見事に表現してるなあと。夕焼けではなかったのか。

赤の歴史①丹絵・紅絵・紅摺絵では、単色著色の丹絵・紅絵から、3色刷りの紅摺絵、さらに5色摺まで紹介される。なかでは紅摺の政信《足袋の紐》がいい。立ったまま足を上げ若衆に足袋の紐を結ばせる。屈みこむ若衆に、バランスを崩さないように手を添える女性。

②の錦絵誕生では、春扇《二川 よしだへ一り 五拾五枚続之内》を採りたい。上部奥の方に風景、手前は大きく遊女が描かれる本作。見かえる遊女のデッサンは狂っているようにも見えるが、なんとも色っぽい。

③の幕末の赤。安政年間から赤がよく使われるようになっており、これは合成染料アニリンが入ってきたからではないかと言われていたが、赤の流行の時期とアニリンの発明の時期が近接し過ぎており疑問があるようだ。従来の技術がブラッシュアップされたか。ここで1枚採るなら、やはり正面摺りが魅力の国貞《源氏見立八景之内 紅葉賀ノ夕照 源氏》。

④の明治の赤。ここは洋紅をもちいたもの。ただこの洋紅についてアニリンという説もあったがコチニールではと。二代国輝《東京府下煉化石従商家京橋観之図》のような絵について、従来資料的価値しか認められていなかったが、文明開化を象徴するような新時代の赤が使われているというところにも注目すべきではという解説も書かれていたが、どちらにせよ資料的価値の域を出ない気もする。

続いてさまざまな赤として①歌舞伎の隈取②漂う雲③流れる血④燃え盛る炎を3枚づつ展示して解説。最後は変わる赤で。まずは褪色で、同じ作品でも状態の差で色が変わっているのを示す。次に紅嫌いの窪俊満《六玉川》。また同じ絵なんだけど色を変えたもの、そして同じ赤なんだけど色味の異なるものをあげていた

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