スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち|東京都美術館(22.4.22~7.3)

スコットランド国立美術館所蔵品の西洋絵画の展覧会。巡回展で、都美館のあと、神戸市立博物館、北九州市立博物館をめぐる。展示数は93だが、デッサンや習作などもおおい。

スコットランド国立美術館の周辺エディンバラ城などを紹介する「プロローグ」のあと、「1 ルネサンス」「2 バロック」「3 グランド・ツアーの時代」「4 19世紀の開拓者たち」の4章に分かれ、最後に「エピローグ」としてアメリカの風景画家チャーチの作品が展示されていた。

「1 ルネッサンス」では、アンドレア・デル・ヴェロッキオ(帰属)《幼児キリストを礼拝する聖母(「ラスキンの聖母」)》が印象深い。廃墟を背景にした聖母子像で、古い宗教に対するキリストの勝利を象徴するという。批評家ラスキン旧蔵。背景の廃墟もふくめ静謐で美しい作品。(帰属)の文字が気になるが、いいものはいいなと。もう1点はエル・グレコ《祝福するキリスト(「世界の救い主」)》。こちらを見つめるやさしい眼差し。

「2 バロック」では、グイド・レーニ《モーセとファラオの冠》が印象的。女性に抱えられる幼子モーセがファラオの冠を手にしている。前にいるのはファラオか。ファラオの支配を拒否することの象徴として、冠を踏みつける直前と考えられている。モーセと女性はゾンビのような肌色で、未完成なのかなと思ったが、どうやらそうでもないらしい。ペーテル・パウルルーベンス《頭部習作(聖アンブロジウス)》は、習作で試行錯誤が残っているのか、デッサンが狂っており、左側から見た顔で、右側が不自然によく見える。ちょっと不気味な感じがいい。もっとも好きなのはアンソニー・ヴァン・ダイク《アンブロージョ・スピノーラ侯爵(1569-1630)の肖像》レンブラントやベラスケスはあまりしっくりこなかった。

「3 グランド・ツアーの時代」。デッサンがそれなりに出ているのは仕方ないけど、さすがにフランソワ・ブーシェ《エウロペの略奪》はどうなんだろ。ブーシェの田園の情景3作《愛すべきパストラル》《眠る女庭師》《田舎風の贈り物》は後付で連作に仕立てられたものらしい。縦長画面で3連幅の趣き。3作セットで妙にしっくり来る感じがある。

「4 19世紀の開拓者たち」ではまずウィリアム・ブレイク《石板に十戒を記す紙》の漫画的な表現。ジョン・コンスタブル《デダムの谷》もすてきだった。となりに掛かっていた大好きなターナーがそれほどいいと思わなかったのは残念だが、同じく大好きなジョン・エヴァレット・ミレイ《「古来比類なき甘美な瞳」》はすばらしい。もともと目が印象的な作家だと思っていたが、エリザベス・バレット・ブラウニングの「カタリーナからカモンイスへ」の一節を利用したこのタイトルは自信の現れか。そしてポール・ゴーガン《三人のタヒチ人》もまたよかった。