SHIBUYAで仏教美術 ―奈良国立博物館コレクションより|渋谷区立松濤美術館(2022.4.9~5.29)

奈良国立博物館仏教美術を紹介する展覧会。リストに上がっているのは83点だが、訪問したのは前期のB期間で、66点の展示。

地下1階が「第1部 日本仏教美術の流れ」と題され「第1章 釈迦の美術」「第2章 密教」「第3章 浄土信仰」「第4章 神仏習合」「第5章 絵巻」に分かれる。残念ながら、大きくない会場の多くない展示数の中で、日本仏教美術の流れという大きな話をするのは無理があるように感じ、雑然と並んでいるという印象が強い。というわけで、章にこだわらずに印象に残った作品をいくつか挙げたい。《不動明王二童子倶利迦羅龍剣像》(13)はわずかに朱を差しただけの白描絵ながら技量が高くかつ迫力満点。《倶利迦羅龍剣二童子像》(17)もかっこいい絵だが、中央の倶利迦羅龍剣より脇の二童子の方になんとなく目が行く。《三鈷杵》(25)は川端康成旧蔵で、文鎮に使っていたこともあるという。《阿弥陀聖衆来迎図》(31、前期、ColBaseに見当たらず)は、非常に数多くの聖衆(菩薩衆)を伴うが、大量のこけしが描かれているような感じでちょっとおもしろい。《辟邪絵》(49)は《天刑星》、《栴檀乾闥婆》、《毘沙門天》の3幅が展示。グロテクスなところもあるがすばらしい絵だと思う。詞書が鬼類に同情的なのが意外なところ。《泣不動縁起》(51、前期は上巻、後期は下巻、展示箇所の画像はColBaseになかった)は洗張しているところや、安倍晴明が祈祷しているところなど。愛らしい妖怪が描かれていた。

2階は「第2部 珠玉の名品たちーまほろばの国から」として「第1章 御仏と出会うー仏像」「第2章 うるわしの書」「第3章 仏教工芸の粋」として仏像、書跡、工芸の展示。まほろばの国からと副題がつくが、単に奈良博から来たというだけの意味のようで、とくに奈良にゆかりのものを集めたとかそういうものではなかった。メインビジュアルに使われている《如意輪観音坐像》(8)はリスト上は第1部だが展示はこちら。想像より大きく、写真で見るより不思議な印象を与える作品。書では《明月記断簡》がよかった。しかし、仏教美術なのか?《転法輪筒》(76、ColBaseに見当たらず)は木製の筒で怨敵降伏の際に筒の中に相手の姿や名を記した紙を入れ込むものらしい。