国宝手鑑「見努世友」と古筆の美|出光美術館(2022.4.23~6.5)

「見努世友」修理完了記念の館蔵古筆展示に合わせて、館蔵茶道具の名品も紹介する展覧会。古筆の展示は34点、茶道具の展示は66点、展示替えは「見努世友」で頁替えがあるのみ。「Ⅰ 古筆の美」「Ⅱ 手鑑の世界ー国宝手鑑「見努世友」の修復後大公開」「Ⅲ 古筆の香り」そして「特集 茶の湯の美ー茶道具の名品」に分かれる。

「Ⅰ 古筆の美」では、古写経と平安から鎌倉初期の古筆の展示。展示されていた古写経は薬師寺経巻94、絵因果経巻3上、扇面法華経断簡、清衡経断簡2葉で、もともとコレクションの数は少ないが、派手で見栄えのするもの。なかでも奈良時代(もしくは平安時代初期)の絵がほとんど褪色もなくきれいに残っている絵因果経はなんど見てもすごい。扇面法華経断簡は掛幅装。裏面はどこにあるのだろうと気になってしまった。下絵もないし経文も続かないし。古筆は継色紙2幅、高野切、大内切、石山切伊勢集2幅、石山切貫之集、東大寺切、中務集、三井寺切、定頼集、久松切巻下。継色紙が2葉並ぶのは圧巻。1つは半首切だけれども。「むめのかの」の解説に「料紙の紙質(表裏)の相違から今と異なる姿であったことが想像される」とあった。たしかに左右でわずかに見た感じが異なり、中央に継ぎ目があるようだ。とするともともと見開きの部分ではなく、泣き別れ・渡り書きの部分かと思ったが、零本の複製本の該当箇所を見ると見開きとなっている。不思議だ。なお「(表裏)」との記述は不可解。継色紙は裏面には書かないはず。高野切は巻1の46~49番歌。巻頭に比べると力の抜けた感じでこれもまたいい。大内切は舶載唐紙なのか状態あまり良くないものの端正な字。石山切は3葉あって、伊勢集と貫之集下両方で、かつ継紙ありとうまく揃えている感じ。伊勢集のをりとめての「人/\」のところが好き。東大寺切は料紙がすこし変な感じがした。変色しているということなのだろうか。ああいうのは初めて見た気がする。中務集と定頼集はガラスの存在を感じさせないケースに入れられており、直に拝見しているようだ。中務集はいつもとは違うところが開いていた気がする。定頼集は定家真筆認定されていたが、先日の松濤美術館での奈良博所蔵品展でみた明月記に比べると魅力が乏しく思った。

「Ⅱ 手鑑の世界ー国宝手鑑「見努世友」の修復後大公開」では見努世友の他に3点4帖の手鑑が展示されていた。これらは平安古筆などが剥がされているようで、中世古筆のところを数葉から十数葉展示。そして見努世友。修復によって表裏を別の帖に仕立てたため表裏を同時に展示できるようになっており、長い壁面ケースを使ってたっぷりと展示していた。とはいえ全部ではないけれども。表で特に気になるのは2重縦罫線の中聖武、藍紙の五月一日経願文断簡。裏は羅文が美しい筋切、継紙の糟色紙、鎌倉切の紫紙もきれいだった。頁替えがあるという。

「Ⅲ 古筆の香り」では鎌倉時代から江戸時代のものまで。光広の九条殿御集がすき。

「特集 茶の湯の美ー茶道具の名品」は力尽きてあまりよく見ていなかったが、それでも玉澗の《山市晴嵐図》は魅力的だった。