光陰礼讃 ―モネからはじまる住友洋画コレクション|泉屋博古館東京(22.5.21~7.31)

春翠とその子息、寛一および友成の収集にかかる住友の洋画コレクションを展示する展覧会。

「1 光と陰の時代 ―印象派と古展派」は外国人作家の作品10点がならぶ。印象派を光、アカデミックな古典派を陰と表現しそれらを展示。ルノワール1点とモネ2点が出ていたそれなりといった感じ。フランス国外に少なく、当然日本でも珍しいというヴィニョンも1点あったが、それより古典派の作品の方が印象深かった。とくにジャン=ポール・ローランスの大作《マルソー将軍の遺体の前のオーストリアの参謀たち》はすばらしい作品だった。

「2 関西美術院と太平洋の画家たち」は上記の陰の流れを汲むもので、ローランスの弟子となりまた春翠の収集に協力した鹿子木孟郎や浅井忠などの作品が13点並ぶ。ここでは渡辺興平《ネルのきもの》と取りたい。鹿子木の作品にはさほど魅力を感じなかった。また浅井は油彩1点と水彩5点。悪くはないが。

「3 東京美術学校派と官展の画家」は1の光の流れを汲むもので、藤島武二などの作品が8点。和田英作《こだま》は石版複製が作られるほど人気を博したという。真正面を向いた半裸の女性が両手を耳に添えて聞こうとしている絵で、不思議と引き込まれる作品だった。斎藤豊作《秋の色》は水辺の木立が黄色く色づいている。その黄色が燃えるような雰囲気なのも含め、鮮やかでコントラストの強い色使いが魅力的。

「4 岸田劉生とその周辺」は、大正中期ごろの寛一の収集品で、岸田劉生中川一政が7点。不気味とかグロテスクと言われがちな劉生だけど、むしろユーモアを感じる。近美の《田村直臣七十歳記念之像》と同じく頭が大きくデフォルメされた《自画像》について、ベレー帽に和装なことに触れつつ「29歳の洋画家には見えない」とキャプションは言うが、ならば何に見えると言いたかったのだろうか。私は「マンガ家」に見えたし、また彼の描く絵がマンガやイラストのように見えた。これは貶めているわけではなくて、そういう傾向があるという意味。その上で、劉生は非常に魅力的で力のある絵を描く人だなあと思う。この展覧会でもっともすばらしいと思った絵は《二人麗子図(童女飾髪図)》だった。麗子が2人いて、一方が他方に髪飾りを取り付けるという奇妙な図。

「5 20世紀のパリと日本」は、1930年代から40年代前半の友成の収集品。ピカソ、ルオー、シャガールと日本の画家の計13点。さほど印象には残らなかった。

ホールに彫刻2点。日名子実三《腰かけた女》と山本芳翠《虎石膏像》。

最後に「【特集展示】住友建築と洋画―洋館には洋画がよく似合う」で野口孫一設計の須磨別邸とそこに飾られた絵画について。田村直一郎というよくわからない人の量感たっぷりの不思議な絵もおもしろかった。ただ、それよりも、須磨別邸は戦時中空爆を受け中にあった美術品とともに焼けたとのことだが、その中に黒田清輝《朝妝》があったというのが目を引いた。焼けたのは知っていたが、こういう事情だったのか。