芳年の新形三十六怪撰全36図を前期・後期で一挙公開、また大日本名将鑑や芳年武者无類、皇国二十四功、月百姿なども展示される。最近いまひとつ芳年にピンとこなくなっており、今回も相変わらずグッとくる感じはない。そんななかでも《曾我時致乗裸馬駆大磯…
現代美術は苦手というか何がいいのかさっぱりわからないんだけれども、現代でもっとも重要な画家の個展ということで行ってみたが、結局その魅力はよくわからんかった。しかし、世界的に評価されており、また展覧会自体も盛況ということで、なんとも不思議な…
歌枕をテーマとした展覧会。期待していたけれど、あまり面白いとは思わなかった。展覧会のテーマには馴染みにくいのかなあと。分量的には新書1冊くらいはほしい主題で、サン美規模の展覧会だと表面をなぞるのが精一杯という感じがした。作品もいまひとつ惹か…
女子美術大学杉並キャンパスの歴史資料展示室の片隅のコレクション公開でコプトの染織品が展示されていたので訪問した。大阪旅行したときに市美術館でコプトの人物模様綴織覆布に感銘を受けて以来、気になるジャンルだった。展示はわずかに10点で、しかもす…
鹿島茂の古書コレクションを展示する展覧会。展示数は146点。「グランヴィルと同時代のイラストレーターたち」はグランヴィルやドレなどの版画や挿絵本など。グランヴィル画の《動物たちの私生活・公生活情景(2巻本)》(7)は冊子本1冊がのぞきケースに、ま…
春翠とその子息、寛一および友成の収集にかかる住友の洋画コレクションを展示する展覧会。「1 光と陰の時代 ―印象派と古展派」は外国人作家の作品10点がならぶ。印象派を光、アカデミックな古典派を陰と表現しそれらを展示。ルノワール1点とモネ2点が出てい…
ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館と西美の所蔵品を主とした展覧会。出品数102の内、フォルクヴァング美術館所蔵品などは37点で、ほかはほぼ西美の所蔵品・寄託品だった。つまり60%超は西美のもので、これで値上がりした特別展料金を取るというのは…
【翻刻】 夕日岡阡表 夕日岡在大阪四天王寺北数百武外以其葬二位壬生家隆卿世呼曰家隆塚先考嘗過此地悲卿善倭歌名重古今而其塚則堙没於榛莾中購而修之取 卿倭歌中詞命以此名更相攸其側建碑勒歌定為留魂之場家兄宗興因蔵遺骨于此使不肖宗光表其阡先考称千広号…
松本竣介の生誕110年を記念しての展覧会。松本の作品は25点で、うち油彩が13点。また松本夫妻が編集した雑誌『雑記帳』挿絵の諸家による原画31点、また『雑記帳』やスケッチ帖、スクラップブック、松本宛のはがきなど資料などが展示されていた。資料は神奈川…
天理図書館所蔵品の中国古典の名品展。日本と中国の写本と刊本が展示されていた。まずは日本の写本。南海寄帰内法伝(1)は奈良時代後期の写経所で書かれたと思しい肉太の力強い写経。般若波羅蜜多心経注(2)は孤本で、道光7年(1827)敦煌の塔中で得た旨の別紙…
そろそろどこかに旅行に行こうかなと考えていたところ、大阪市立美術館がリニューアルのための長期休館前に大規模なコレクション展をしているとのことで大阪にした。残念ながらそのコレクション展はそれほど自分には刺さらなかったし、それ以外の美術館も好…
東京都世田谷区にある五島美術館は、茶道具や書跡のコレクションが充実した美術館で、併設の大東急記念文庫にも貴重な典籍が収蔵されている。収蔵品にはさまざまなジャンルがあるが、その中でも特筆すべきは古筆のコレクションではなかろうか。日本には(少…
今回の展覧会は、常設展示の他に展示室1で「中国青銅器 形と用途」、展示室4で中国陶磁器の展示「二色の美」、展示室5と6で絵画展示「故きを温ねて」が開催されていた。展示室1の「特別展示 中国青銅器 形と用途 - 松岡美術館」は古代中国の青銅器の展示で、…
「見努世友」修理完了記念の館蔵古筆展示に合わせて、館蔵茶道具の名品も紹介する展覧会。古筆の展示は34点、茶道具の展示は66点、展示替えは「見努世友」で頁替えがあるのみ。「Ⅰ 古筆の美」「Ⅱ 手鑑の世界ー国宝手鑑「見努世友」の修復後大公開」「Ⅲ 古筆…
奈良国立博物館の仏教美術を紹介する展覧会。リストに上がっているのは83点だが、訪問したのは前期のB期間で、66点の展示。地下1階が「第1部 日本仏教美術の流れ」と題され「第1章 釈迦の美術」「第2章 密教」「第3章 浄土信仰」「第4章 神仏習合」「第5章 …
藝大美術館のコレクション展。今回の目玉は《浄瑠璃寺吉祥天厨子絵》。浄瑠璃寺の吉祥天立像の厨子だったが、厨子のみ流出して藝大が所蔵するもの。像は2017年三井記念美術館の「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝 」展で拝見したけれど、こんなすばらしい厨子…
スコットランド国立美術館所蔵品の西洋絵画の展覧会。巡回展で、都美館のあと、神戸市立博物館、北九州市立博物館をめぐる。展示数は93だが、デッサンや習作などもおおい。スコットランド国立美術館の周辺エディンバラ城などを紹介する「プロローグ」のあと…
慶応大学が取得したセンチュリー赤尾コレクションに古筆本家に関する資料などが含まれていた。その調査研究の途中経過を報告するもので、江戸時代の書跡鑑定に関する展覧会。「1. 書を鑑賞する」「2. 筆跡鑑定という仕事」「3. 古筆家の人々」「4. 筆跡鑑定…
大英博物館所蔵の北斎の作品を紹介する展覧会で、コレクターとの関係にも触れる。錦絵中心に肉筆および関連資料などで、出品数は121。展示替えは少なく、北斎の肉筆3点が入れ替わるのと、観山の絵が後期には下絵になるのみ。6章立てで「第1章 画壇への登場…
没後50年を記念しての展覧会。のちに京都に巡回し、出品番号は109番まであるが、京都会場のみの出品として12点が挙げられていた。また、東京会場でも展示替えがある。行った日に出ていたのは72点。没後50年というのにびっくりしてしまったが、1972年まで存命…
アーティゾン美術館の石橋美術館からの歴史を振り返る展覧会で、3章に分れる。「Section 1 アーティゾン美術館の誕生」は近年の収集活動について、「Section 2 新地平への旅」で正二郎の長男幹一郎の収集活動や、日本・東洋古美術の公開への尽力の紹介、「Se…
館蔵品の中から吉祥に関わる作品を展示する展覧会。古筆・絵画・工芸・文房具・古鏡にわかれ64点が展示される(ただし2点は前後期で展示替え)。また展示室2では源氏物語関連の展示で、源氏物語絵巻(期間限定、期間外は現状模写)や梗概書・注釈書などなら…
館蔵の日本画を紹介する展覧会。春翠のコレクションがベースのようだけど、近年購入したものもあった。計49点の出品で、通期25点、前期のみ10点、後期のみ13点。ほかに特別出品で絵でないものが2点あり。東京、京都、大阪の各都市に分けての展示。地域によっ…
季節や自然にかかわる絵画・書籍・工芸の所蔵品を展示する展覧会。全30点。江戸時代の作品が中心で、ほか明・清時代のも。1階が和で、2階が漢とわけており、そこに込められた意味や表現方法を探るとのことだったが、いまひとつそのコンセプトには乗れなかっ…
浮世絵の赤に注目した展覧会で、全64点。近年、浮世絵の赤の色材に関する研究が進んでいるようで、それを受けている。7章仕立てで、赤の名品、赤の歴史①丹絵・紅絵・紅摺絵、②錦絵誕生、③幕末の赤、④明治の赤、さまざまな赤、変わる赤に分かれる。まず最初に…
【翻刻】 文政三年庚辰夏五月十三日長崎画工広渡巌斐疾 卒于江戸客舎享年五十有五其門人曁隣里助其寡 婦孤女葬之于四谷西応寺之後山嗚呼哀哉身客於 数千里之外損靡*1依之孤寡而没此所謂生民之至艱 而荼毒之極哀者也其妻大橋氏募力於生卒旧識買 石立碑請記於…
正倉院宝物の模造についての展覧会で、奈良国立博物館をはじめ、全国8か所を巡る巡回展。東京展では128番まで番号は振られているが、展示は70点で、そのうち4点が前後期で入れ替えなので、同時に出ているのは66点だった。模造をつくる際には、現状を模するか…
松岡美術館は初訪問だったが、なぜこんな素敵な美術館にいままで行かなかったのかと後悔しきりだった。国外の彫刻がここまでずらりと並ぶというのは珍しいのではないかと思う。数的にはガンダーラやインド彫刻が多いけれども、そしてもちろんそれもすばらし…
君不聞雲中有月々有桂。呉剛揮斧斫其枝。一枝堕地化為人。骨格輪囷又離奇。身材即是姮娥薬。駈人病邪生人肌。莫怪雲桂猶姓秋。秋来看月多帰思。満腔熱腸出天性。不肯拳曲低鬚眉。矮屋打頭久不耐。恰如桂梢物圧垂。買断大屋大且敞。美哉輪焉歌於斯。仰視蟾宮…
六波羅蜜寺所蔵の彫刻を中心とした展覧会で計14軀。さらに本館11室で関連展示が5軀あった。目玉はもちろん《空也上人像》(1)。その上人像が圧巻だった。口から小さな6体の阿弥陀仏像が出ているという不思議な造形という印象しかなかったけど、実際に見るとそ…